「取引先が倒産?」シリーズ Vol.8 工事を引き継いだのですが、前業者の下地工事に原因があり、施工上の不具合が発生しました。弊社は責任を負うのでしょうか?

【相談内容】

前の業者が倒産してしまい、その工事を引き継いだのですが、前業者の下地工事に原因があり、施工上の不具合が発生しました。弊社は責任を負うのでしょうか?

【回答】

工事を引き継ぐケースは少なからずありますが、トラブルに巻き込まれるリスクが高いため、今後は、引継ぎ時に書面を作成してください。以下は、当該書面がない場合の対応についてお話しします。

1 契約不適合の責任(従来の瑕疵担保責任)

理論的には、前業者の責任と御社の責任は別物であり、御社の施工に不備がなければ御社の責任は生じません。しかし、前業者の施工不備が、御社の施工上の不備を招くことが明らかであれば、御社の責任が問われます。

 

2 説明義務違反

施主に告げておくべき前業者の施工上の問題点や前業者の施工不備が御社の施工上の不備を招くことが明らかな状況について、施主に対する当該問題点や状況に関する説明を怠った場合には、1の契約不適合がなかったとしても、2の説明義務違反を問われる可能性があります。

引継ぎ後に、契約で約束した業務を行ったこと及び引継ぎ時に問題点等の説明を行ったことを証拠に残すために、また、前業者と一度トラブルになり、業者に対する不信感を抱いた施主とのトラブルを防止するためにも、引継ぎ時の書面が特に大切です。