「借地上の建物と建築工事」シリーズVol.1 借地上の建物のリフォーム工事の依頼を受けたのですが、何を注意すべきですか?

【質問】

 借地上の建物のリフォーム工事の依頼を受けたのですが、何を注意すべきですか?

【回答】

リスク① 増改築禁止特約による借地契約の債務不履行解除リスク

 借地権に関し増改築禁止特約が存在した場合には、当該特約の存在が判然としないケースや、そのリフォーム工事が増改築に該当するかどうか判然としないケース(基準が曖昧です)、貸主の承諾を得たか否かが判然としないケースがあり、これに伴う、リフォーム業者の責任やリスクを回避する必要があります。

 リスク回避策としては、借地契約で定められた増改築禁止特約を理由に借地権契約が解除されたとしても、請負業者を免責する旨の特約を入れる必要があります。

リスク② 契約上の用途制限違反

 例えば、リフォームにより、当初の用途(借地人の居住用)を変更する(賃貸用の共同住宅として使用)ことになる場合、用途制限違反を理由に、借地契約が解除されるリスクがあります。リスク回避策としては、用途制限違反を理由とする借地契約の解除について請負業者を免責する旨の特約を入れる必要があります。

リスク③ 用途地域違反の有無

 例えば、第1種低層住宅専用地域の自宅の一部を店舗や事務所にする場合(建築基準法施行令第130条の3)。事前の調査が必要です。近隣からの通報で、建築指導課の対応に苦慮したことがあります。

リスク④ 旧法借地権について、朽廃によりリフォームが無駄になるリスク

 旧法借地権において、大規模修繕により建物の存続期間が物理的には延長されたとしても、修繕前の建物が朽廃したであろう時期に借地契約は終了するとされています(最高裁昭和42年9月21日判決)。

 リスク回避策としては、建物の朽廃による借地権の終了に伴う一切の損害や責任は発注者が負担する旨の特約を入れる必要があります。