「建築敷地の取得と共有不動産」シリーズ 顧客が注文住宅の敷地として希望する対象敷地が共有かつ一部に譲渡反対者がいます。この場合は、用地取得を諦めなければならないのでしょうか?

【質問】

顧客が注文住宅の敷地として取得を希望する対象敷地が共有かつ共有者の一部に譲渡反対者がいます。この場合は、用地取得を諦めなければならないのでしょうか?

【回答】

譲渡に賛成する共有者からその持分を取得し、共有物分割請求を行い、代償分割により、対象敷地全部を取得できる場合があります。

ただし、共有者の中に所在不明者がいる場合には、不在者管理人等の選任を裁判所に申立てを行うという、煩雑な手続が必要となります。また、登記簿が長期にわたり放置され、現在の共有者の氏名さえも分からない場合があります。

改正後の対応)上記不都合への対応と所在等不明共有者の利益のバランスを図るために、以下のオプションが追加されました。

<所在等不明共有者の不動産持分の取得制度>

共有者は、裁判所の決定を得て、所在等不明共有者(氏名等不特定を含む)の対象不動産の持分を取得することができるようになりました(令和5年4月1日施行民法262 の2)。但し、遺産共有のケースでは、相続開始から10年を経過しなければ、利用不可(同民法262の2Ⅲ)とすることでバランスを図っています。